斜方硫黄(α硫黄)
最安定常温常圧で最も安定な形態。S₈環状分子が規則正しく配列した結晶。二硫化炭素に溶ける。
SOUL/ALLOY Science · Structural Chemistry
同じ元素、異なる姿 — 理科室で出会える変身する元素たち
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同素体(allotrope)とは、同じ元素の原子だけでできているのに、結合の仕方や配列が異なるために、まったく異なる物性を示す物質のことです。
たとえば、ダイヤモンドと鉛筆の芯(黒鉛)。どちらも炭素原子だけでできているのに、一方は地球上で最も硬く、もう一方は柔らかく紙に文字が書けます。この劇的な違いは、原子の「並び方」が異なるだけで生まれます。
理科室での加熱・冷却実験で3状態すべてを容易に観察でき、同素体を学ぶ最も身近な素材です。
常温常圧で最も安定な形態。S₈環状分子が規則正しく配列した結晶。二硫化炭素に溶ける。
融解した硫黄をゆっくり冷却すると得られる。放置すると斜方硫黄に転移する。95.5°C以上で安定。
沸騰直前の液体硫黄を冷水に注いで急冷して作る。長鎖状のS分子。放置すると弾性を失い斜方硫黄に戻る。
鉛筆の芯からダイヤモンドまで。日常的な物質として最も安全に同素体の違いを実感できる元素です。
層状構造。sp²混成軌道による六角形の平面が弱いファンデルワールス力で積層。柔らかく、電気をよく導く。鉛筆の芯。
sp³混成軌道による立体網目構造。地球上で最も硬い天然物質。電気を導かないが、熱伝導率は金属を凌駕する。
60個の炭素原子がサッカーボール状に配列した球殻分子。1985年に発見され、ノーベル化学賞(1996年)を受賞。カーボンナノチューブやグラフェンも炭素同素体の仲間。
同じ元素なのに、一方は猛毒で自然発火し、もう一方はマッチの側薬に使われる安全な物質。同素体の物性差を最も劇的に示す元素です。
毒性は低く、空気中で安定。マッチの側薬(箱の横の茶色い部分)に使用される。加熱しないと発火しない。
P₄正四面体分子。猛毒かつ空気中で自然発火するため、必ず水中で保存・観察する。演示実験の対象として理科室にも存在する。暗所で青白く光る(リン光)。
層状構造を持ち電気を導く。黒鉛に似た外観と性質。近年は半導体材料として注目されている。理科室での実物用意は稀だが、科学的網羅性のために記載。
固体ではありませんが、化学便覧レベルの網羅性には必須の気体の同素体です。
大気の約21%を占める。二重結合で結ばれた2原子分子。助燃性を持ち、ほとんどの燃焼反応に不可欠。
3原子からなる折れ線型分子。酸化力が極めて強く、殺菌・脱臭に利用される。成層圏のオゾン層は紫外線を吸収し、地球上の生命を保護する。オゾン発生器を用いた脱色実験で存在を確認可能。
硫黄と同族(第16族)の元素。光伝導性という独特の性質を持つ同素体が存在します。
六方晶系のらせん鎖構造。半導体で、光が当たると電気伝導性が増大する(光伝導性)。かつてコピー機の感光体に使用された。
Se₈環状分子からなる。単斜晶系の結晶(α, β, γの3形態あり)。加熱すると灰色セレンに転移する。
不規則な鎖状構造。溶融セレンの急冷で得られる。ガラス着色剤として赤色ガラスの製造に使用される。
リンと同族(第15族)の元素。毒性で有名ですが、同素体によって性質が大きく異なります。
菱面体晶系の層状構造。脆い半金属。空気中で表面が酸化され光沢を失う。半導体のGaAs(ガリウムヒ素)の原料として現代のIT産業を支える。
As₄正四面体分子(白リンと同構造)。非常に不安定で、光や熱ですぐに灰色ヒ素に転移する。-196°Cの低温でのみ安定に存在。
無定形(アモルファス)構造。ヒ素蒸気の急冷で得られる。リンの同素体と対応した構造パターンを持つ。
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白リンは水中保存が必須(空気中で自然発火)、赤リンはそのまま保管可能。同じ元素でも取り扱いが劇的に異なります。
黒鉛は電気を通すがダイヤモンドは通さない。黒リンは導電性を持つが赤リンは絶縁体。原子配列が物性を決定します。
硫黄は加熱・冷却条件で3状態を行き来できる。しかしダイヤモンドを黒鉛に変えるのは容易ではない(逆は超高圧が必要)。
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