科学的説明
①脳波の測定方法自体がノイズだらけで信頼性が低かった。②「ゲーム中にα波が減少する」のは、集中状態(β波優位)になるための当然の変化であり、読書・計算・仕事中でも同じことが起きる。③「α波が減る=痴呆症」という解釈は脳波の基礎的な理解を完全に間違えている。α波はリラックス状態で増加し、集中時に減少するのが正常。④対照実験(コントロール群)が設定されておらず、科学的手法として根本的に不備。

壊れた脳波計で若者を断罪する2000年代のPTA会長
常に怒っている2000年代のPTA会長。壊れかけの脳波計を持ち歩き、「ゲームをしていると脳波が痴呆症の老人と同じになる! キレる若者の原因はこれだ!」と何でもかんでもゲームのせいにする。しかし脳波の測定方法自体がノイズだらけでデタラメだったうえ、ゲームに集中している時にα波が減るのは読書や計算でも同じ当たり前のことだった。神経科学者から「トンデモ科学の極み」としてフルボッコにされ、学術的には完全に否定された。
2002年、森昭雄教授の著書『ゲーム脳の恐怖』がベストセラーに。メディアが大々的に取り上げたが、脳科学者から即座に方法論と解釈の問題を指摘され、学術的には完全に否定された。
①脳波の測定方法自体がノイズだらけで信頼性が低かった。②「ゲーム中にα波が減少する」のは、集中状態(β波優位)になるための当然の変化であり、読書・計算・仕事中でも同じことが起きる。③「α波が減る=痴呆症」という解釈は脳波の基礎的な理解を完全に間違えている。α波はリラックス状態で増加し、集中時に減少するのが正常。④対照実験(コントロール群)が設定されておらず、科学的手法として根本的に不備。
社会の不安(「最近の若者は…」)に合致する「科学っぽい説明」は、メディアで爆発的に広がる。しかしメディアの報道量と科学的正しさは比例しない。
口癖“最近の若者がおかしいのは全部ゲームのせいじゃ!”
ケイ素(Si)は半導体の基盤であり、ゲーム機のCPUやGPUを構成する要素。「俺が作ったプロセッサで動くゲームが脳を壊す? お前の壊れた脳波計のほうが問題だ」と反論。
“ゲームをすると脳がボケるんじゃ! この脳波計を見ろ!”
“α波が減っている! これは痴呆症と同じ状態じゃ! ゲーム禁止!”
“…え? 読書でもα波は減る? そ、それとこれは違う! ゲームは悪!”
“最近の若者がキレやすいのは全部ゲームのせいじゃ!”
“…この脳波計、ちょっとノイズが多いが…気にするな!(壊れかけ)”
(壊れかけの脳波計を振り回しながら登場)見ろ! この脳波計のデータを! ゲームをしている子供のα波が激減しておる! 痴呆症と同じじゃ!
ゲームは脳を壊す! 最近の若者がキレやすいのも、学力が下がったのも、全部ゲームが原因じゃ!
ゲムノウ:「ケイ素! お前が作った半導体チップで動くゲームが子供の脳を破壊しているんじゃ!」
ケイ素:「…まず、その脳波計のデータにはノイズが入りすぎている。測定方法からして不適切だ」
ゲムノウ:「細かいことはいい! α波が減っておる! 痴呆症と同じ状態じゃ!」
ケイ素:「α波はリラックス時に増加し、集中時に減少する。それは正常な脳の反応だ。読書でも計算でも同じことが起きる。集中=痴呆という解釈は脳波の基礎を理解していない」
ゲムノウ:「で、でもゲームは受動的で…!」
ケイ素:「現代のゲームは能動的な意思決定の連続だ。むしろテレビの視聴のほうが受動的。そしてお前の研究にはコントロール群がない。科学の体をなしていない」
「最近の若者は…」という嘆きは、古代ギリシャの時代からある。その不安に科学っぽい装飾をつけると、ベストセラーになる。でもそれは科学ではなく、世代間のモラルパニックだった。
メディアが大きく取り上げたからといって、正しいとは限らない。査読論文と一般書の区別がつかない社会は、何度でも同じ過ちを繰り返す。